【テンプル・バトン】その8-1(浄土宗 吉田徹秀師)
浅野智弘師よりテンプルバトンを受け取り「ご縁」をテーマに法話リレーをつながせていただきます。 熊本浄土宗の西福寺、吉田 徹秀です。
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このたび智弘さんからのバトンで、私もご縁についてみつめる機会をいただきました。有難いことです。自分自身についての縁を考えてみますと、やはり私も両親から命の縁を授かりました。父は49歳、母は43歳。ひょっこり生まれてきてしまったのです。当時、母の姉は、そんな歳で産むのはみっともないやめときなさいと言ったそうで、後からよく笑い話で聞かされました。
お釈迦さまはガンジス川のほとりで砂を手に握られ、その砂を見つめ、「無限にある砂からこの一握りが人間として生まれてきた私たちだよ」と言われました。命の重みに気づかされます。
そもそも自分の前には無数の先祖がいます。その一人が欠けてもいまの自分はいないと思うと自然に手が合わさります。
縁とはつながりを意味しますが、仏教では縁起を説きます。
縁って起こるというように、すべての物事は原因や条件が関係して結果が生まれます。物事はそれだけで存在することはありません。関わりあって存在しています。私たちの命も、生れ死に、死に生まれる。必ずどこかでつながっています。そのことを縁起という法則で説き明かしたのがお釈迦さまの教えなのです。
例えばお花は、種という原因(因)があって、水や日光という条件(縁)によって花が咲くという結果が得られます。縁起の法則では、種を「因」、水や光などを「縁」、花が咲くことを「果」と呼びます。あらゆる物事はすべてこの因果関係で成り立っています。
お釈迦さまは、思い通りにならない苦しみから抜け出すには、どうしたらいいかと考えました。
苦しみは何に縁って起こるのか?
その問いかけから縁起の法則に行き着いたのです。
私の中で起こっている不安や恐れは、自分の心が作り出したものです。思い通りにいかないこの苦しみは自分の煩悩が作り出したのです。目の前に起きている現象は、自分の心が映し出されているというように、因果関係にあります。この苦しみから抜け出す方法を、修行という形で、様々な方法が今に伝えられています。
お釈迦さまの教えは、苦を滅して涅槃(悟り)に至ることを目的とします。苦の原因を探り、苦を滅することで苦しみから抜け出すのです。
色々な方法が説かれていますが、例えば、心静かに座って、深く呼吸するのもいいと思います。吸う息と吐く息に意識を集中して、繰り返していくうちに「あぁこれが自分かぁ」と感じるかもしれません。日々続けていくうちに、自分は無限のつながりによって存在していることに気づかされるかもしれません。自粛生活のなかで人と人が実際にお会いするのが難しい昨今ですが、自分に意識を深く深く戻していくことで無数にひろがっていくご縁があるのだと思います。
パンデミックな世の中をどうように生きていけばいいのでしょう。
あなたはどうしますか?
このテンプルバトンの「ご縁」も慈しみの心でひろがり、皆さまに良いご縁がまいりすよう念じています。
合掌
最後までお読みいただきありがとうございました。
次のバトンは 香福寺、清水谷勇哲師に託させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします🙏
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