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【書評】大來尚順著『カンタン英語で浄土真宗入門』(法蔵館)

仏教井戸端トーク

漢字が並び難解に思える仏教用語も英訳されたほうが、その意味するところを理解しやすいと説いた画期的仏教入門書『英語でブッダ』『超カンタン英語で仏教がよくわかる』(ともに扶桑社)に続き、大來尚順さん(浄土真宗本願寺派 大見山 超勝寺)が新刊『カンタン英語で浄土真宗入門』(法蔵館)を出版されました。

大來さんは、海外で仏教を研究した経験を活用し、英語での講演や執筆を通しても仏教伝道される国際派の僧侶。以前、第12回仏教井戸端トーク「海外事情編」にも登壇頂き、ちょっとだけでしたが英単語を使った仏教講座を披露頂いたことを覚えています。

今回の本は、大來さんが拠り所としている浄土真宗の教えを英単語で解説するという、まさに大來さんの深い想いが詰まった一冊のようです。

ちらっと覗いてみると、これまで誤解していた教えを発見し、もやもやした気持ちをもっていた教義の解釈もスッキリ晴れました。

例えば、「悪人正機」という言葉。これは浄土真宗の教えの中でも最もユニーク且つ重要な言葉の一つで、「悪人こそ救いの目当て」という意味です。英語だと「The evil person is the primal purpose of Amida’s working.」となり、「悪人は阿弥陀仏の救いの根本的な目的である」となり日本語の意味より鮮明になります。

しかし、この「悪人正機」は、多くの方が「悪いことをした人でも救われる」という意味として誤解されます。そんな誤解を解くために、大來さんは「悪人」という言葉の意味を仏教史学的な背景を根拠に、「心から自身の罪悪性に目覚め、反省し、その中で悲しみや自分への嫌悪感、葛藤などに苦しみながら生活する人」と解釈し、英語で「A person who is truly aware of one’s human nature as hopeless person」と訳されています。

このようなスタイルで浄土真宗の基本的な教えが解説されていきます。「そうだったんだ!!」「ですよね!!」という驚きと納得の連発。もう誰かに教えたくてたまらなくなる内容が詰まった本です。是非ともご一読頂きたいオススメ本です。

大來さんにはまた仏教井戸端トークに参加してもらえないかなあと思う今日この頃でした。
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