カテゴリー
井戸端コラム

番外編「クローズアップDHARMA~きょうの説法~」報告

天台宗瀧泉寺(目黒不動尊)副住職
瀧口康道

クローズアップDHARMA ~きょうの説法~
日 時:2017年11月17日(金)19:00~21:00
場 所:GINZA SALON
講 師:吉田龍雄(浄土宗)・瀧口康道(天台宗)・西原龍哉(浄土真宗本願寺派)
司 会:増田将之(仏教伝道協会)

築地本願寺GINZA SALONはとても便利な場所であるとともに、世相を直に感じるフィールドである。街灯が、電灯へ短い移行期にポッと灯され人々を癒やし驚かせたガス灯に感じる。

クローズアップDHARMAーー宗派の異なる僧侶がそれぞれの袈裟や法衣を着し、仏法を説話する。聞法の参加者の質問も交えての現代の辻説法ーーは、クロストークだ。今回は終わってみるとその場にある全てを包摂した日本の「一乗」を共有できた伝説の回!?になったのではないかと思う。

これから起こることを肌で感じていたのか、いつもは饒舌な司会の増田師は早々に切り上げ一同を驚かせた。

最初に登壇したのは浄土真宗本願寺派の西原師。親鸞聖人の履歴書を作成しわかりやすく説明した。なによりも一般にあるような物事に喩えて話す姿はとても共感を与え参加者も自然とうなずいていた。今回に合わせて天台伝教大師、浄土法然上人も列記してあった。親鸞聖人の阿弥陀さまの本願を信じ、信ずればたすかると慈父の如くの説諭を細やかに話された。

心性もとよりきよけれど この世はまことのひとぞなき(親鸞聖人)

次に浄土宗の吉田師。長年、大本山である増上寺において行じた下地が大いに発揮される話であった。幼少時より非凡な才能を示す勢至丸としての深広の智慧第一の法然房。末法の世にあって寄り添い助くる阿弥陀さまを心より慕いお念仏を称えお任せするお教えは聞く参加者に法然上人の面影を偲ばせた。

月影のいたらぬ里はなけれども 眺むる人の心にぞすむ(法然上人)

最後は天台宗の私、瀧口。法然上人、親鸞聖人の学ばれた比叡山。天=空・星=台から文字を紙に示し物語った。伝教大師の一乗への思い、その実践方法の止=サマタ・観=ヴィパッサナー。総合仏教の天台を「南無諸法実相」の自作標語で喝破。目黒不動尊の開基でおよそ仏法が日本に伝わったのは半ばこれ慈覚大師の力といわれた念仏の祖 圓仁と浄土教の祖 恵心僧都源信を紹介し、求むる心=道心の裾野を示した。

夜もすがら佛の道をもとむれば 我が心にぞ尋ね入ぬる(恵心僧都)

プログラム的に三人の講師のつなぎもうまくいき、自然と日本の浄土思想を三友の語りというべき躰をなしていた。参加者からの質問も日々の悩みから仏教用語にまで多く寄せられ、三友の息の合った回答は日本仏教を漢字二文字で包摂する「一乗」そのものだった。

名前の一字に「龍」がいる三人には、未来に弥勒菩薩が出現し人を救うまで修行をして救おうと龍の身で入定したと伝える法然上人の師、天台僧の皇円を思い起こした。それぞれのお祖師さまの後押しがあったものと感ずる。「三人寄れば文殊の知恵」益々の活躍を期待する三友である。(文責:大愚康道)