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井戸端コラム

地域とのつながり、地域との共生(ともいき)

 

日野崇雄
(浄土宗浄土院住職・出羽学童保育所受楽園運営委員長)

「出羽学童保育所受楽園」は、昭和56年4月に山形市郊外の浄土院境内に開設され、今年で36年目を迎えます。周辺は、蔵王山脈が連なり畑や田んぼに囲まれた自然豊かな地域です。開設者である私の父・故 日野智雄上人が「子ども達が幼稚園や保育園を卒園して小学校を入学する喜びと共に、子ども達の放課後は・・」との思いで、境内の納屋をリフォームして開設しました。当時は、指導員1名と15名の入園者でのスタートで、山形市の補助金もほとんどない中、試行錯誤の毎日を費やしたようです。

しかし、現在は約160名(小学1年生~6年生まで)を超える地域の子ども達をお預かりしております。そのような中、子供たちの安全面で施設が手狭となり(児童1人当たりの市の基準:1.65㎡)、運営委員会・保護者会等で問題となっておりました。昨年、山形に本店を置くきらやか銀行様より、閉店した旧支店(ATMのみ稼働)を「地域の子供達のために活用出来ないものか?」とお声掛け頂き、当山が旧支店を譲り受け、1階部分を「出羽学童保育所第4受楽園」として、2階部分は宗教行事や地域の憩いの場所として活用させて頂く事となりました。昨年の12月に開所式が行われ、きらやか銀行の粟野学頭取は「地震があっても金庫(跡)の中に入れば大丈夫」と児童に呼びかけ、佐藤孝弘市長は「適切な場所がなく困っていたので有難い」と述べられました。

では何故、このような少子化の中でお預かりする児童数が増えてきたかのか?と申しますと、次のような状況があります。「共働きで、両親とも日中いない」「核家族化により、昔は面倒見てくれていたおじいちゃん、おばあちゃんが近くにいない」「ひとり親家庭」など。やはり、日中子どもの面倒を見たくても見られる環境ではなく、特に低学年(1,2年生)に鍵っ子になれと言われても危険がともないます。そうなると、やはり学童保育所に入園するという選択が必然となるわけです。今日も境内の仏様や地域の皆様に見守られて子供たちの元気な声が聞こえてきます。また、お寺でいただくお菓子やさまざまなお供物は、子供達のおやつとしていただく事もございます。保護者の方々からは「両親が共働き家庭にとって、学童保育所ほど、頼りになることはありません。毎日の放課後も、家の中で1人ぽつんと待っていることなく、友達と安心して遊ぶことが出来ます。」「娘も喜んで学童保育所に帰ってくるようです。早く迎えに行くと娘に怒られます。(笑)」「学童保育所では、学年を越えた友達関係の中で、親が教える事の出来ないルールを学んできます。親として、日々成長していく子どもの姿を見ることが、家事や仕事の励みとなります。また、育児に悩んでしまった時に相談出来るのが、普段の子ども達を知っている学童の先生です。」など様々なご意見をお聞きいたします。非常に有難く、指導員一同励みになる言葉でもあります。

また、日頃から地域の皆様方と触れ合う機会がたくさんあり、夏休みなどは、コミュ二ティセンターで行われている流しそうめん大会に参加したり、地域の方にコマ回しを教わったり、保護者・祖父母総参加の餅つき大会などを毎年企画しています。私が一番感じることは、当学童保育所は「お寺と地域との信頼関係(つながり)・共生(ともいき)」で成り立っていると思います。今後もこれまで積み上げてきた活動を継続し、子供達の育成のために地域とのより良い関係を今後も結んでいけるよう日々精進していきたいと思っています。

最後に、当園で長年歌っている歌詞を掲載させていただきます。
合 掌

『みんなが呼んでるよ』

「ただいまー」って おおごえで 学童(浄土院)めざして かけてゆく

カタカタ かばんも わらってる たのしい あそびがはじまるよ

ひとりぼっちじゃ なんだか つまらない みんながまってるよ

みんながよんでるよ ヤッ!!

※現在、山形市の委託事業に位置付けられ、地域の各団体(地域社会福祉協議会・自治会・民生委員・学校長等)の運営方式となっています。