キリスト新聞社/いのり☆フェスティバル主宰
松谷信司
最近めっきりお坊さんのお友達ばかり増えて困って(?)いるキリスト新聞社の松谷と申します。この間、「彼岸寺」「フリスタ」「向源」「ぶっちゃけ寺」など、若手僧侶の先駆的な活躍をリスペクトと羨望の眼差しで見てきた一人でもあります。その根底には、同じ宗教者として直面している課題とそれを克服する知恵はきっと共通しているはずとの思いがありました。
「キリスト新聞」は戦後翌年の創刊から70年以上にわたって国内外のキリスト教にまつわるニュースを、教派を超えて(カトリックからプロテスタント、正教会まで)伝えてきた老舗の業界紙です。しかし、国内の信者数は1%未満、教会数に至ってはお寺の10分の1以下というあり様です。信者の少子高齢化、牧師志願者の減少は留まるところを知らず、勃興する新興宗教や「スピリチュアル」系の勢いとは裏腹に、教会はもはや「限界集落」と化しつつあると言っても過言ではありません。
仏教に比べ、キリスト教は良くも悪くも「西洋の宗教」と思われがちな分、ややオシャレな印象も持たれています。特にきらびやかなステンドグラスや荘厳な礼拝堂、マリア像、パイプオルガンなどのイメージがまさにそれです。ゲームや漫画といったサブカルチャーにも、天使や悪魔、聖書のモチーフが多用されています。にもかかわらず、ガチな信者になる人が少ないというのは、やはりどこか私たちの側に負の要因があるはずです。
「紙」の売れない時代に「神」をどう伝えるのか。それは、すでに「オワコン」とささやかれつつある新聞(活字媒体)にも教会にも共通の課題です。
そうした閉塞状況を少しでも打破したいと願い、有志実行委員会の主催で2011年から毎年開催してきたのが「いのり☆フェスティバル」、通称「いのフェス」です。企画当初から特に意識したのは他宗教との接点です。初めてキリスト教に触れようとする方にとっては、仏教も同じぐらい興味・関心の対象であることが少なくありません。「キリスト教のイベント」という色をあえて前面に出さず、仏教者もゲスト参加できるコーナーを設けることによって、「キリスト教を押し売りされるのではないか」という不安を軽減することができるのです。
教会での礼拝や聖書にいきなり取り組むのはハードルが高いと思われる方々に、「イベントなら気軽に立ち寄ってみよう」「のぞいてみるだけなら……」と思ってもらえるよう、教派や企業、学校の枠にとらわれない自由な立場で「関係者」がゆるくつながる教会版「コミケ」「学園祭」として定着しつつあります。東京以外にもこれまで、神奈川、名古屋、大阪、岡山などで開催してきました。
今年は4年ぶりに東京(日本基督教団深沢教会、11月24日13時半~18時)での開催となります。信仰とは別に、純粋に仏教やキリスト教を知りたいと思っている方は、ぜひ足をお運びください。あなたの知らない新しい宗教の可能性に触れることができるはずです。