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イベント開催後報告

レポート / コラボ企画|浄土双六ペーパークラフトをつくろうワークショップ第5回「ほとけ編」

■開催概要
日時:2018/4/9(月) 19:00~21:00
場所:陽岳寺
司会:
増田将之 浄土真宗本願寺派僧侶、仏教井戸端トーク主宰
登壇者:
藤井隆英師 曹洞宗 岩田山 一月院副住職(史実として伝わるお釈迦さま)
嶋田一成師 日蓮宗 興林山 宗隆寺副住職(仏教の世界観の中で語られるお釈迦さま(釈迦如来))
吉田龍雄師 浄土宗 霊雲山称明院 蟠龍寺副住職(阿弥陀如来)
小野常寛師 天台宗 高龍山明王院 普賢寺法嗣(薬師如来)
向井真人師 臨済宗妙心寺派 陽岳寺副住職(観音菩薩)
飯塚秀譽師 真言宗豊山派神通山大聖護国寺住職(大日如来)

仏教井戸端トークは49日に深川の陽岳寺で開催された、陽岳寺及びゲーミフィジャパン様が主催する「浄土双六ペーパークラフトをつくろうワークショップ第5回『ほとけ編』」に共催としてコラボいたしました。

陽岳寺の向井さんがかねてから取り組んでこられた仏教ボードゲーム企画の一環として、雑誌編集者の方が江戸時代に制作された浄土双六を復刻し、その復刻された平面の双六を、向井さんとゲーミフィジャパン様とで立体化して、より仏教の世界観の理解を深めようという企画です。

双六のルールでは、最終マスとして”ほとけ”が想定されています。それが立体物上にマスとして存在するのか否かは別として、双六で楽しむ人の心次第ということで、どの尊格にするのかということは特に決めずに、人ぞれぞれ自分にとってどの尊格がふさわしいかを考えるヒントとして、超宗派でいろいろなお坊さんに来ていただき、それぞれの宗派のご本尊のお話をしていただきました。

藤井師は史実として定着しているお釈迦様のお話でした。実際には簡単な坐禅を通して人間釈迦を感じてもらうというやり方で、自身の力で仏の有り様を実践するという極めて曹洞禅的な手法でございました。

日蓮宗の嶋田師は不立文字な禅的説明のあとを受けて、一部史実のゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)のお話を交えつつ、経典で宗教としてある意味神格化されたお釈迦様の説明を言葉で丁寧にご説明くださいました。

続いて、日頃からイベントを多く仕掛けている吉田師には阿弥陀如来のお話をしていただきました。吉田師はお話も上手でテンポよく笑いも交えて阿弥陀様への恋愛感情にも似た心情をお話しいただきました。また、浄土宗の吉田師のあとに、同じ浄土系でも浄土真宗ではどう捉えるか、微妙な違いを当仏教井戸端トークの増田が補足しました。

天台宗の小野師には薬師如来のお話をしていただきました。天台宗としては特に本尊を薬師如来と定めているわけではありませんが、末法思想=浄土を求める鎌倉期より前の時代に成立している天台宗は、病気などの悩みに応える事が多かったのか、薬師如来を祀るお寺が多いという導入部で多くの方が感心していました。

この企画の主催者である向井師は唯一如来ではない菩薩のお話でした。ただ、観音菩薩は「未敷の蓮華(みふのれんげ)」という物を持っていることが多く、これは「一度悟ったが、迷いの衆生の側に戻って救う」という意味があるため、一旦如来になっているという理解ができ、その観点から菩薩を混ぜられたと理解しました。

最後は飯塚師による大日如来のお話。如来の中では唯一きらびやかな格好をしている如来で、その特徴、そのオールマイティー具合を歴史的な流れと、身近な部分と多面的にお話くださいました。

増田は合間合間に解説と小咄をまぜ、今までになく会場をわかせました(笑)。
あとは夏以降に立体化される浄土双六がどういう形で現れるのか、楽しみです!

撮影:吉田貴洋(株式会社コルプ