和ろうそくの歴史(3)和ろうそくの特徴と現状

和ろうそくの原料はハゼノキです。実は中国製のハゼノキや東南アジアのハゼノキでも試したことがあるそうですができなかったそうです。日本のハゼノキを中国に持って行って育ててもダメだったそうです。日本で育ったものだけしか使えません。なぜでしょうか?

成分分析をすると中国や東南アジアのハゼノキにはない成分が6%含まれていることがわかりました。それは「日本酸」と呼ばれる成分です。
元々ハゼノキはアジアにしか自生しません。そこにもってきて日本のハゼノキにしかないものですから、「日本酸」と名付けられました。英語でもJapan Acidと呼ばれます。ハゼノキもJapan Wax Treeです。日本の気候や土でないとできない成分なのでしょう。

この日本酸が6%あるかないかが和ろうそくになるかならないかを分けていたのです。
つまり、和ろうそくは「原料を海外から輸入することができない」ということが分かったのです。

和ろうそくは西洋ろうそくよりひかりが強く、長く持ち、風に強く、煤が少ないという特徴があります。煤が少ないのは金箔を用いる仏壇には非常に優しいのです。金箔仏壇は30年くらいに一度洗う必要が出ますが和ろうそくであれば傷みも少なく、5年から10年は長持ちすると言われてます。

和ろうそくの原料になる日本産ハゼノキは日本のほぼ全国で自生していますが、東日本のハゼノミは小ぶりなので蝋がほとんどとれないそうです。なぜか四国西部、九州産のハゼノキが実が大きく効率が良いそうです。

現在和ろうそくを生産する工房は20軒近く残っています。非常に数は少なくなりましたが、後継者が決まっているところも約半数ありますので、細々とでもとりあえず当面は和ろうそくとその技術は残るでしょう。しかし、ハゼノキを育てて実を取って蝋を作るまでの(和ろうそく職人に蝋が渡る前段階の)過程を行う職人が激減しています。川上が枯れれば川下に水がいかなくなるのは自明の理。やはりきちんとした需要を喚起する必要がありそうです。
そういった意味で和ろうそく自体が風前の灯になっているのです。和ろうそくのような形にした西洋ろうそくも出始めていますが、前述のように原料が違い、質も異なりますから、見かけだけ対応できても仏壇や寺院の須弥壇を傷めるスピードは早まるでしょう。

とは言え、市場原理をひっくり返すことは無謀です。それより、和ろうそくを使う機会を増やしませんか?
特にお寺さんは法要の時だけでも和ろうそくにするなど、仏事とは長い付き合いだった和ろうそくの使用機会を増やしていただきたいと思っております。

 

1 Comment