お寺は言うに及ばず、仏事・仏壇でも欠かすことのできない道具の一つにろうそくがあります。現在一般的に使用されているのは芯が糸でできている西洋から伝わったスタイルのろうそくです。西洋式のろうそくは中世の宣教師らがもたらしていた可能性がありますが、一般的に普及するのは明治以降です。それまでは和ろうそくしかありませんでした。
ろうそくは奈良時代に仏教の伝来と共に中国から伝わりました。この時代は洋の東西を問わず主原料はミツバチが作る蜜蝋でした。平安時代に入るとマツヤニに取って代わり、室町時代には次第に漆やハゼノキ(漆の一種)などの木蝋になっていきます。
ちなみに西洋式ろうそくは豚などの脂分で作るようになり、特に鯨の脂が高級かつ、効率が良かったため、ほぼ脂のためだけの非効率な捕鯨が盛んに行われます(日本では捨てる所がないくらい命に感謝して行われていた捕鯨に対して。)
西洋のろうそくは前述のとおり、中世に宣教師によってもたらされている可能性は高いのですが、宗教の違い、とりわけ殺生を禁じる仏教(キリスト教も禁じてますが)にとっては無理に動物性脂のろうそくを使わなくとも植物性脂の和ろうそくで十分だったという理由もあったようです。事実そうした理由でながらく仏教界では西洋ろうそくは使われませんでした。
江戸時代に入ると島津藩が支配していた琉球王国からハゼノキが大量に伝わり、生産量が増えます。
一方、西洋では石油から作られるパラフィンのろうそくが開発され、こちらも一気に大量生産が始まります。このパラフィン製のろうそくが明治期にもたらされ日本でも普及します。そしてこれが動物性脂ではないという理由で寺院でも使われ始めます。
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